標津のNPO「追跡調査」2013年
標津町NPO法人「南知床・ヒグマ情報センター」などは、
全国地球測位システム(GPS)を使ったヒグマ行動追跡調査で、
夏に体重が200㌔以下まで落ちたオスが冬眠前に350㌔まで増やしていたことを確認した。
野生のヒグマの冬眠前後の体重変化が明らかになるのは珍しい。
推定16歳のオスの行動を追跡した。
一昨年11月の捕獲時の体重は305㌔。
昨年8月に再び捕獲したときは190㌔に減っていた。
しかし、1ヵ月後の9月には240㌔まで回復。
12月に斜里町で狩猟によるハンターに捕獲された時は推定350㌔に増えていた。
一昨年の冬眠前から咋夏まで115㌔も体重を減らし、
その後4ヵ月で160㌔ほど増やすという劇的な変化だった。
調査では、昨年10月に捕獲した189㌔のオス(推定2歳)が降雪後に
山岳部に向いながら再び平野部に戻り、12月にハンターに捕獲された。
この時の体重は170㌔だった。
センターの藤本靖理事長は「16歳のクマは餌を確保できたが、
若いクマは冬眠に備えるだけの脂肪を蓄えられず、平野部に戻ったのだろう」と推測する。
一方、知床半島の中央部ルシャ地区で昨年9月、
やせ細って餓死したメスが確認された。
カラフトマスの遡上の遅れが大きな要因と考えられ、
「激ヤセ」グマが報告されている。
坪田敏男北大教授は「(半島の付け根の)標津周辺では餓死も
『檄ヤセ』も確認されなかった。生息密度が高く、
カラフトマスへの依存度も高い半島部のヒグマとの違いと考えられる」と指摘した。
調査はセンターと北大、NTTドコモの合同研究「ADPS・プロジェクト」として
2009年に始まった。
研究成果は2月2日に札幌市の北大獣医学研究科講義棟講堂で発表され、
13日には標津町生涯学習センター「あすばる」で開かれるヒグマ・セミナーでも発表される。