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山親爺@Black-Bearが、日々の活動と体験雑学を綴っていす。
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 佐竹秀樹さん(右)の説明を受けながら
牛の放牧地を見学する参加者


   「健康優先の飼育」  

牛や豚などの家畜にストレスを与えない飼い方で健康に育て、
安全な畜産物を生み出す家畜福祉(アニマルウェルフェア)の
理念や取り組みを広める動きが始まった。
道内の研究者や酪農家が中心となって、
5月に「北海道・農業と動物福祉の研究会」を設立した。
欧州のように認定制度をつくり、畜産物に付加価値をつけることを目標に掲げている。
新たな動きは、酪農・畜産王国の北海道に定着するのか。
今月7日に家畜福祉に取り組む旭川の酪農家で行われた、同研究会の見学会に参加し、
家畜福祉とは何かについて考えた。

  「もうちょっとだからね、なな。はい、ありがとうね」
 旭川市の酪農家、佐竹秀樹さん(56)が搾乳中のなな(8歳、メス)に優しく声をかけると、
くずりかけていた、なながおとなしくなった。
「牛と心が通じて始めて搾乳という作業ができることを知ってほしかった」。

 同研究会会員の佐竹さんが経営する「クリーマリ農夢(ノーム)では、
7㌶の敷地で放牧を中心に6頭のホルスタインを飼育する。
牛乳の宅配を中心に、チーズやアイスクリームなどの乳製品の製造、販売も手がける。

 牛舎は、夏は涼しく、冬は暖かくなるよう、壁が取り外せるほか、
床を土間にするなど工夫している。
朝、夕の搾乳時には、寝床の掃除をして、干し草を入れ替える。
牛は、冬でも自由に牛舎から出られるようにし、気の向くまま、
お産も好きな場所でさせる。

  牛も長生き
  年間乳量が1頭で2万㌔を越すスーパカウと呼ばれる乳用牛が増える中で、
農夢の牛の乳量は全道平均を下回る7500㌔ほど。
「牛が好きで牛飼いになった。乳量よりも、牛への負担を減らして、
長生きしてもらうのが目的」と言い切る。
実際、事故や病気で死んだり、乳用牛としての価値がなくなって食肉処理されるまでの
平均年数は4~7歳なのに対し、農夢では14、15歳まで飼育される。

 見学会に参加した帯広畜産大4年生の斉藤遥夏さん(22)は
「これまで研究に行った生産者の中には、牛にきつくあたる人もいた。
ここの牛は目も穏やかで愛情を持って育てられていることが分かる。
私も、牛がストレスなく幸せに過ごせるような酪農家になりたい」と笑顔を見せた。

  ストレス軽減
 同研究会は、道内の研究者ら約10人が集まり結成した。
札幌市内で5月10日に開かれた設立記念フォーラムには、
一般消費者を含む約80人が参加した。
家畜福祉の理念や、飼育現場の実情などが報告され、会員数は約30人まで増えている。

 家畜福祉とは、家畜を「単なる農畜産物ではなく、感受性のある生命存在」と位置づけ、
①飢えと渇きからの自由
②不快からの自由
③傷み、傷、病気からの自由
④通常行動への自由
⑤恐怖や悲しみからの自由―の五つの自由に基づき、家畜へのストレスを軽減して、
家畜の健康増進を目指すもの。
欧州連合(EU)では、鶏のケージ飼育や、
妊娠豚のストール(閉じ込め)飼育などを禁止している。
欧米では、スーパーや動物愛護団体が主導して、家畜へのストレスの少なさに応じて
認証マークをつけるなど差別化を図り、高値で販売している。

 一方、国内の一部では、効率性を求めて過密に牛を押し込み、
寝るスペースが確保できない牛舎があるほか、餌の管理が悪く、
全部の牛に餌があたらなかったり、管理に邪魔だからと尻尾を切る牧場もあるのが現状だ。
酪農学園大の荒木和秋教授は「日本は家畜が非常に短命な国だ。
ある意味、人間社会の過労死と同じではないか。
畜産物の品質や人間の健康への懸念も出ている」と指摘する。

  制度化をめざす 
 国内では、研究者らが中心となって2002年に
「農業と動物福祉の研究会」(東京)を設立しており、
7月に、家畜福祉の認定制度実現に向けた組織を立ち上げた。
同研究会の松木洋一代表世話人は
「まずは消費者にどのように家畜が飼われているかを知ってもらわないとならない」と、
消費者、流通業者、飲食店関係者らを巻き込んだ活動の必要性を訴える一方、
「道内の生産者は意識が高い。北海道が変われば日本全体が変わる。
消費地といかに連携するかが鍵となる」と道内の動きに期待を寄せる。

 北海道・農業と動物福祉の研究会も、
全国的な動きと並行して認証制度づくりを目指す考えだ。
今年は、研修会や見学会を開いて活動への理解を求める予定で、
同研究会では「家畜福祉に取り組む生産者が増えることで、
かわいそうな家畜が一頭でも減ることになるし、
この活動を消費者が付加価値と認めてくれれば、
環太平洋連携協定(TPP)にも対抗できるものの一つになるはず」と話す。

  「実践できることから」帯広畜産大学講師・瀬尾哲也さん
 「北海道・農業と動物福祉の研究会」の代表で、
帯広畜産大講師の瀬尾哲也さん(45)に家畜福祉の必要性と、今後の活動について聞いた。

  ― 家畜福祉の考え方とは。
 「家畜の身になって考えてみようというのが根本的な発想です。
家畜なので、最終的には殺して食べることを前提に、生まれてから死ぬまでの間は、
できる限りストレスが少ない生活をしてもらう。
生産者がその環境をつくり、それを理解してくれる消費者が飼い方を付加価値として認め、
畜産物に対価として払うことで生産者を支えていく仕組みです」

 ― 海外では普及しているのですね。
 「例えばイギリスだと国が飼育方法を法律で規制して、
スーパーや動物保護団体が認証制度をつくっています。
日本では2009年に、乳用牛、肉用牛を放牧飼育する牧場の認定制度ができたばかりです。
活動を普及させるには、まず、消費者に、
自分が普段食べているものがどこから来ているかを知ってもらう必要があります。
もう安さがけで選ぶ時代ではなく、自分の生き方を食べ物に反映させるべきです。
その選択肢の一つに家畜福祉があると思います」

  ― 家畜福祉を実践するにはハードルが高いと思う生産者も多いのではないでしょうか。
 「例えな、牛舎の清掃をまめにするとか、家畜の扱い方をもっと優しくするとか、
すぐにできることはいくらでもあります。今の農業のやり方が、
自分のやりたい農業なのかについて、生産者には今一度、問い直してもらいたい。
もちろん、メガフャーム(超大型農場)もいいですが、
少ない頭数を丁寧に飼うのもやり方の一つ。
小規模な生産者がたくさんいると地域には家族が増え、子どもの数も多くなる。
地域活性化にもなります」

 ― 農業改革など大規模農場化を推進する動きもあります。
 「国は大規模生産者だけでなく、
小規模でもちゃんとやっていける生産者も支援すべきです。
実際に、これから酪農を目指す人の多くは、小規模農業を希望しています。
機械導入や装置の更新時に補助金を出すのではなく、例えば、適正な飼い方で、
質の高い生乳をつくっている生産者には、見合った対価を支払うようにすべきです」

  北海道新聞( 経済部 山崎 真理子 記者)

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