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山親爺@Black-Bearが、日々の活動と体験雑学を綴っていす。
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   「技術提供」 「技術提供」

 世界最大の石油消費国である米国が、その輸入で「脱中東」を果たす見通しになった。
国際エネルギー機関IEA(本部パリ)が明らかにした。
岩盤層からしみ出す米国産「シェールオイル」の増産が続き、
2030年代前半には南北アメリカ内で全量達成できるという。
 
 日米欧など世界の主な石油消費国28ヵ国でつくるIEAのファティ・ブロル主席エコノミストが
朝日新聞のインタビューに答えた。
こうした見通しは、今秋発表される年次報告「世界エネルギー展望」に盛り込まれる。
 
 米国石油(天然ガス由来の液体燃料を含む)消費は11年、日量1880万㌭だった。
840万㌭は輸入でまかない、
うち2割以上を占める184万㌭をサウジアラビアなど中東諸国に依存していた。
 
 ピロル氏によると、減少傾向をたどり始めた米国の移入は20年に600万㌭程度になり、
35年までには400万㌭未満となるという。
 
 支えは国産のシェールオイル。
現在の日量90万㌭が20年には200万㌭を超え、
中東からの輸入分を上回る規模になるとみる。
シェールオイルは、国際市場で決まる原油価格が1㌭=50~60㌦以上なら
採算があるとされる。
IEAは油価が80~100㌦の高止まりが続くと推定しており、開発ペースは衰えそうにない。
乗用車やトラックの燃費規制の強化による需要の抑制も輸入減につながる。
 
 残る輸入はカナダやメキシコ、ブラジルなど米州からが大半を占める。
カナダでは、シェールオイルのほか、
砂岩から石油を取り出し「オイルサンド」開発も進む。
ブラジルでは「超深海油田」も見つかった。
ピロル氏は「30年代全般には中東依存がほとんどない状態になる」と分析した。
 
 米国は1973年の石油危機以来、経済活動や暮らしに欠かせない石油の
中東依存脱却が大きな課題だった。
石油不足の心配が小さくなることで、消費国から他国の支え手に回る余力が生まれ、
新たな資源外交を探り始めた。
ピロル氏は「エネルギーをめぐる安全保障の国際地図が書き換わるかもしれない」と指摘した。

 シェールオイルは、石油の確保を目指して動いてきた米国の
外交政策を変える潜在力を秘めている。
 
 クリントン国務長官は「エネルギーを語らずして外交政策は語れない」と判断して、
昨年秋に「エネルギー資源局」を設置した。
  
 国務省でエネルギーや資源を担当するローバート・セクタ筆頭次官補代理は
朝日新聞取材に「エネルギー安保の定義が変わろうとしている」と話す。
 
 石油の「確認埋蔵量」は、米国では1970年代にピークに達し、
国内生産も右肩上がりだった。
輸入依存度の高まりは、産油国が連なる中東情勢の安定に注力する一因となった。
 
 だがシェールオイルのおかげで、石油危機が起きた70年代に掲げた
「脱中東」が見え始めた。
セクタ氏は新しい外交の柱として、新興国が進める油田開発の支援や、
省エネや再生可能エネルギー普及への協力を例示する。
 
 ガソリンなどの価格は、ニューヨークでの取引をはじめとする国際市場に連動して決まる。
米国では「石油の自給」ができても、マーケットで油価が高騰すれば
ガソリン価格の急上昇は避けられない。
ならば世界全体で「持続可能で安定したエネルギーを確保する」ことが国益につながる ― 。

 こう考えた国務省は2010年、シェールガスの「技術協力プログラム」を開始。
中国やインドなど11ヵ国に、技術情報を提供している。
セクタ氏は「これをシェールオイルにも広げる」と説明する。
日本では、秋田県で開発計画がある。
協力は「歓迎する」という。
 
 IEAによると、10年に日量8700㌭だった世界需要は、35年に9900㌭増える。
途上国の成長が続き、自動車の普及は加速する。
米戦略国際研究所のガイ・カルーソン氏は、米国が世界エネルギー確保に目を配れば
「石油がどんどん必要になる新興国に対して、外交面でさらに影響力を持つだろう」と見ている。

 「地下水汚染・地震の懸念も」
 米ノースダコタ州ビリングス群。
牧草地が広がる一帯で、高さ40㍍のやぐらがあちこちに立ち並ぶ。
 掘削ドリルを地か深く送り込んでいるのは石油開発会社GMXリソーシズ。
プレハブづくりの管理棟に陣取るマーク・バンウィナクル作業長のパソコンが示すドリルの先は、
地下1万㌳(約3千㍍)の頁岩(シェール)層に届いていた。
 「石油があるのは確認済みだ。1ヵ月で生産が始められる」
 ノースダコタ州政府によると、掘削中のやぐらは州内で200を超す。
 シェールオイルの開発は2009年ごろに本格化した。
ブームはテキサス州やワイオミング州などに広がる。
 
 頁岩層の石油は、掘り当てさえすれば自然に噴出す普通の油田と違い、
油は岩にしみこんでいる。
地下深くで水平に掘り進み、大量の水を流し込んで岩盤に亀裂をつくって
油をしみ出させて取り出す仕組み。
 
 技術はシェールガスの開発で先行した。
だが供給が急増でガス価格は急落。
開発は石油へといっせいに動いた。
開発を担うのは、全米で数千にのぼるという中小の石油企業。
社員100人のGMX社も、その一つ。
マイケル・ロールダー社長は「どの業界でも、小さな企業がリスクを取り、革新をもたらす。
当社はリスクを取る」と話した。
 
 ただ、開発に伴い、地下水汚染の心配があり、地震を引き起こす可能性も指摘される。
米環境保護庁は昨年から地下水への影響を調べており、12年中に中間報告、
14年に最終報告がある。
内容次第で開発にブレーキがかかる可能性もある。 

 シェールオイル
 
 頁岩(シェール)層と呼ばれる岩盤に閉じ込められている石油。
 シェールガスと同じく、大量の水の注入で岩盤に亀裂をつくって
油をしみ出させる技法が近年、確立された。
米エネルギー情報局によると、いまの技術で採掘できる米国内の埋蔵量は推定332億 ㌭。
 コストも計算に入れたうえで、確実に採掘できるとされてきた米国の
確認埋蔵量(252億㌭の1・3倍の規模。

 

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